手嶋純太さんへ

手嶋純太さん。あなたの存在を知ったのは、あなたが2年生の時の合宿の時でした。よく喋ってキザな嫌な先輩みたいな感じで、あなたは主人公たちを盛り上げる存在なのかなって思っていました。でも、本気で走るあなたを見て誰が勝ってほしいとかそんなんじゃない頑張るあなたが素敵で、その後走れなくなっても立ち上がろうとしているあなたに涙しました。そんな悔しい思いをしたのに、一生懸命サポートしたIHは、きっと悔しくて悔しかったでしょう。でも、あなたのその応援があったからこその優勝だったと思っています。「登りで100人抜け!小野田!」その台詞はかっこよくってすごいこと言うなって思ったけれども、「本当にやりやがった!」と言った時に、あなた自身も出来るとは半信半疑だったのかなとも思ったけれども、そうやって誰かを鼓舞できるようなことを言えるってすごいなと思いました。

そうして、あなたは3年生になって、キャプテンになって。キャプテンになってすぐにずっと練習してきたことを知りました。色んなレース、そして合宿があって。合宿は本当にすごい戦いでしたね。毎回毎回あなたはこれでもかって出し切って、でももう何も出来ないと思ってもそこからまだ絞り切るような走りをしていました。そうして、自分の手でレギュラーを勝ち取りましたね。

私も3年生の中でキャプテンやるなら、あなただと思っていました。でも、それは、ごめんなさい。実力じゃなくて、みんなのことをよく見ていること、誰かを励ませる力を持っていること、頭が良くてまとめるのが得意なこと、そういったリーダー的資質でそう思ってました。だから、そうやってキャプテンになったら、当たり前のようにあなたがIHに出て、その頭脳で策を考えて戦っていくのだとばかり思ってました。でも、あなたは違った。ちゃんとずっとずっとずっと練習をして。そうやって勝ち取った。それは本当に本当にすごいことです。

少しだけ、自分の話をします。私は、小5の時からバレーボール部でした。人数的にも小6の時にはレギュラーで。最後の試合、私のサーブは22vs23ぐらいで相手が1点リードしていた時。私は緊張して、入れなきゃ入れなきゃとばかり思っていました。そうして打ったサーブはネットに引っかかって。ごめんとしか言えなくて、みんなほとんど絶望していました。そのまま点が入って負けた試合の後、体育館の階段でみんな泣いていました。私のせいだ、私のせいだと思って、でももう時間は戻らなくて。どうしようもない自分への怒りと悲しみは、どこにもぶつけられず落ち込むしかありませんでした。それでも、ボールを拾った時の喜びが忘れられず、そして負けず嫌いな私は中学校でもバレーボール部に入りました。上下関係が厳しくなってよりハイレベルになった部活。そうやって少しずつ月日が過ぎて3年生になった時。私はレギュラーじゃありませんでした。同じポジションのリベロは中学から始めた子がレギュラーでした。その子は笑顔でコートに立っていてみんなから好かれるような可愛い子で、でも誰にも言わないでずっと帰ってからも自主練しているような子でした。私は、小学校からやっていた自分がレギュラー取れると思っていたこともありますし、そんなに頑張るみたいなことはできませんでした。そして、何よりホッとしている自分もいました。私はいじめられていたこともあって、コートで堂々と出来なくて声も出せないからよく人にボールを譲ってしまって気まずい思いをしていたし、そして何より、失敗するのが怖かったんです。小学生の最後の試合みたいに、自分のせいで失敗して、みんなが悲しむのが、みんなの期待に応えられないのが怖かった。本気で頑張れないのはそういったこともあったし、所詮その程度の気持ちだったんでしょう。あの子が自主練頑張っててすごかったから、自分とは違うからなんて、言い訳をしてずっと逃げていた気もします。

少し長くなってしまいましたね。

怖くないのかな、と思いました。あなたが全てを賭けて自転車に乗って。それが報われなかったら、努力が全部無意味だって感じないのかなって。もしも、レギュラーになれたとしても、周りが才能の塊みたいな奴らばかりで、自分が足手まといになったら、そのせいで負けてしまったら怖くないのかなって。ずっとずっと練習するって何があなたをそんなに突き動かすのかなって。でも、私気づいたんです。あなたはそんな私が心配することよりも何よりも、IHに出れない方が怖かったんだ。それって、本当にすごくって。失敗とか、恐れとか、そういうものじゃなくて、あなたはずっと前だけを見て、夢だけを追って、そのためにずっとずっとサボらずに自転車に乗ってきたんだなって。本当に誰にでもできることじゃない。私には出来なかったことでした。

練習のモチベーションって、自分だけで出すのは難しいことだと思っています。例えば、前年度の覇者でレギュラー確定みたいな人だったら、みんなからの期待を感じて、それがプレッシャーになって、練習もサボっちゃダメだと思うでしょう。でも、あなたには期待するような人は少なかった。いなかったわけではないし、何よりも大切な相棒である青八木さんもいたことんだけれども、それでもあなたは自分自身でずっとペダルを回してきた。

キャプテンになると、期待度も高まっただろうけれども、あなたはたった1回のカラオケですら、断るような人で。信じられないぐらい真っ直ぐに努力してきたんですね。

待ちに待ったIHでは、いろは坂で山岳を争いましたね。最初からずっときつそうで真波山岳さんは、余裕みたいな感じでした。

誰かの悪口を言うわけじゃないんだけれども、総北も箱学もみんなレギュラーの人たちは、天才みたいに見える。実際天才的だし、なんだか私たちとは違う人間なんだなと感じる時がある。山を登るのが楽しすぎるとか、勝負を楽しんでいることとか、練習もきつそうだけれども、楽しんでいることとか。結局才能があるんだなあと思う時がある。でも、あなたの考え方が本当にとても普通だなって思う時があって。いろは坂で争っている時に、「布団きもちー」と言ったあなたの言葉、親近感というかそうだよねって思いました。疲れたら布団で休むのが1番。そりゃみんな思うだろうけど、なんとなくみんなはずっと自転車のこと考えたりしてて休むこととか考えてなさそうみたいに思っていたから、そうやって、しかもレース中に考えてしまうあなたは本当に普通の人なんだなと思ってしまいました。

そう私が思った、普通のあなたは、あのいろは坂の山岳ラインの手前で立ち止まりました。その数秒前まで、この景色一生忘れないって言っていたあなたが。私はあなたがそんな風に喜んでくれて、努力が報われた瞬間だと思って涙しました。そんな奇跡みたいな瞬間だったのに、数秒後に立ち止まれちゃうんですか。驚いたし、すっごく動揺しました。それは、全然普通じゃないです。かっこ良いことで、ええかっこしい感じすらあるけれども、でもあなたはどこまでも自分に厳しくて、自分の手で山岳を取りたかったんだろうなとも思いました。ここまでしてきた努力が、ちゃんとフェアな形で報われて欲しいし、私もそういった瞬間が見たいとその時思いました。結果的にいろは坂は真波山岳さんが勝者になったけれども、ずっとずっと欲しかった1番を、フェアな状態で自分の手で掴みたいと思う気持ちは、どこまででも真っ直ぐで。そんなあなたの努力が報われる瞬間が来ることを心から祈りました。

杉元くんも途中口にしていたけれども、当たり前のことをやることは難しいです。筋肉があったり、元々才能があったり、自分の走りを貫いたり、他のみんなの色んな走りを見てみんな努力してきたのは知っているけれども、馬鹿にするわけでもなくどこかファンタジーみたいな超技術みたいなそんな風に思っていました。そんな中、あなたは当たり前のことをコツコツとやっていました。カッコいいことが出来るわけじゃない。かっこよくて勝てたらきっとそれは楽しいことでしょう。でも、負け続けてもあなたは自転車に乗っている。辞めようと思ったこともあった。きっとそれは何度もあったんじゃないのでしょうか。でも、それでもあなたは自分自身の選択で自転車に乗っている。自分自身の力で、ひとつひとつ丁寧にやると決めている。それは尋常じゃない心の強さです。そして、そうやって一見地味で、いつもきつそうに自転車を漕いでいるのに、あなたは自転車が好きと言います。それって、本当に本当に本当に自転車に乗ることが好きで堪らないんだと思います。勝つと嬉しいし、突拍子も無いスピードが出て派手でかっこいいのならそりゃ、楽しくてしょうがなくて夢中になるでしょう。そうじゃないあなたが、きつそうでコツコツとペダルを回してるあなたが、自転車が好きと言うのです。どんだけ楽しいんだその自転車ってやつは。ロードってやつは。そう思ってしまいました。私がロードに乗ってみたいと心底思ったのは、あなたのそういうところを見てからでした。

<以降アニメ最新話より先、単行本のネタバレ有>

あなたがそうしていろは坂を僅差で負けた時、倒れそうになって本当に倒れてしまうのではないかと思いました。IH2日目に、悠人君に抜かれた時に、今泉君がキレて、私もちょっぴり不安になりました。そういうところを見ると、やっぱりいつか駄目になってしまうんじゃないかって、そう思いました。でも、仲間に支えられて、ここまで来ましたね。

チーム2人がIHで走ってお得意のボトル渡しを見てる時、既に2人の夢は叶っているんだなと思いました。あんなに心焦がれたIHの舞台で、2人で走っている様子は夢みたいな時間だったでしょう。2年生の時の合宿の時には想像もつかない光景でした。普通のあなたは、きっとそれが出来ただけでももうリタイアしてもいいかなって思いが湧いたときがあったんじゃないでしょうか。

広島とやりあった時も、てっきり青八木さんが勝つのかなと思っていました。でも、2人で信じ合って勝ったのはあなたでしたね。沢山の勝負に色んな人の力を借りながらではあるけれども、でもあなたはあなた自身の足でペダルを回して、そうやって進んで来た。それは紛れもない事実です。

3日目のIHでは、早々にリタイアするのかなと思っていました。ああ、ここでリタイアかなと思っていた時に、進み出したあなたは満身創痍で。嘘だろと思いました。沢山の夢が叶って沢山の勝負をして乗り越えてここまで走って来たあなたは、自分よりも強いと信じている2年生メンバーに託して、もういつ倒れてもいいと思ったんじゃないでしょうか。それでも、前に進めるなんて、気力なのかなんなのか私にはもう分からないぐらいすごくて。根性で走っているあなたのその走りに泣いていると観客も応援していて、心が震えました。きっと誰もがあなたのそのがむしゃらで、でも前に進む、前だけを見ている走りに心打たれたと思います。

<ここから先、単行本以降のチャピオンのネタバレ有>

葦木場君との戦いは、きっと嬉しくてしょうがなかったでしょうね。中学の頃の夢ですもの。あんなにきつくてきつくて登って来ていつ倒れてもおかしくないあなたは、ずっと漕いで漕いで漕いでペダルを回して進んでいましたね。中学の頃から何度も何度も何度も負けたあなたがまだ乗っている自転車は、本当にきつそうででも楽しそうでした。気迫だけで登っているようなそんな光景でした。

知ってますか、坂道って漕がないと進まないんですよ。知ってますよね。でも、それをずっとやっているんですよ。どんなに頑張っても勝てないと思った。私は、何度もあなたはキャプテンだし、平凡だし、キャプテンとしてみんなをまとめられればいいんだろうと思っていました。でも、あなたはずっとペダルを回して進んで来た。

平凡とか普通とか努力とか言いながら出来レースじゃんとか言う人もいるかもしれません。でも、私はここまで来るのにずっと漕いで進んで来たあなたのことをそんな風に嘲笑することなんて出来ません。あなたが進んで来たこの道は、全ては見えないけれども、でもしっかりとあなた自身で進んで来た道で。それを、結局平凡なんかじゃねーんじゃんみたいに笑える人に私はなりたくない。ずっとずっとずっと努力して来たんですね。ここまで。

努力、友情、勝利。違う漫画雑誌のテーマだけれども、あなたはそれを地でやるような人です。そんな人いないです。

いろは坂での勝負を見てから、フェアな戦いであなたが勝利する光景を見たいと思ってました。あなたがきつそうにしたり、大変な勝負をしたりする度に何度も諦めました。でも、私が諦めていても、あなた自身が諦めかけた時もあったかもしれないけれど、結果的にあなたは諦めずにここまで来た。

夢見ていた、祈っていた、その光景は。あなたが山岳のラインを1番でゴールする光景でした。そして、あなたは自分の力で叶えました。

葦木場くんが手を伸ばした瞬間、1日目のゴールの瞬間のことを思い出して、リーチじゃ負けると思いました。でも、あなたはただ前にずっと進んでいたんですね。

ずっとずっとずっとずっとこの瞬間を見たかった。何年も待っていました。感動とかそんな言葉じゃ言い表せられない、ゴールしたあなたが手を広げている姿をずっと想像して、夢見て祈って来たこの数年。でも、誰よりもあなた自身がその瞬間を想像し、夢見たことでしょう。

あなたの夢はあなた自身が叶えたもので、ずっと戦って努力して手に入れたもので、あなたが掴んだものです。

本当におめでとう。そして、ありがとう。こんなに心を震わせてくれて。こんな気持ちにさせてくれて。

自転車を諦めないでくれてありがとう。いろは坂のあの時、倒れないでくれてありがとう。助けてくれた、小野田君ありがとう。ずっと支えてくれてきた青八木くんありがとう。陰ながら応援してくれたライバルの古賀くんありがとう。総北のみんな、先輩ありがとう。一生懸命戦ってくれた葦木場くんありがとう。みんなありがとう。

あなたが掴んだこの勝利は、あなたが手にした努力の結果で、才能が開花した瞬間です。あなたはきっとこれからも自転車に乗るでしょう。もう辞めるなんて言わないでください。ずっとずっとあなたの走る姿を見ていたいです。どんな形でもいいから。でも、誰から言われなくてもきっとあなたはずっと自転車に乗るんでしょうね。あの時辞められなかったから。辞めなかった自転車で、こんな勝利、こんな景色手に入れたら辞められるわけないでしょう。そして、大好きなんですもんね、自転車。

本当におめでとう。

そして、ありがとう。

あなたが見せてくれた奇跡がいつだって私の力になります。勇気を貰っています。

感謝してもしきれません。

本当に尊敬しています。大好きです。

これからもずっと応援しています。

Published by

ohanachann

http://ohanachann.strikingly.com/

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